伝統的な産業をソフトウェアエンジニアリングで再定義する面白さ|CTO 重岡正
日本のアニメや漫画などの情報発信やグッズ販売を手がけるTokyo Otaku Mode(トーキョー・オタク・モード)に創業前期から参画し、会社の立ち上げからサービスのグロースを経験してきた重岡さん。
彼はなぜ、ROUTE06を共同創業することにしたのか。また、エンジニア視点で見るROUTE06での開発の魅力について話を聞きました。
スタートアップ立ち上げを経て、ROUTE06を共同創業した理由
──改めて、ROUTE06を共同創業するまでのキャリアを教えてください。
熊本大学の大学院を卒業後、東京に上京してきて、新卒でソフトウェアの受託開発を手がけるウェブインパクトに入社しました。当時はソフトウェアエンジニアとして、主にPHPやJava、Ruby on Railsなどを使ったバックエンドの開発を担当。開発する領域はグルメや不動産、ECサービスなど多岐にわたっていました。
その傍ら、「せっかく東京に来たからにはいろんなエンジニアコミュニティに入ったり、週末ミートアップや勉強会などに参加したりしよう」ということで、エンジニアたちが集まるような場所にちょこちょこ顔を出していたんです。そのひとつに、Tokyo Otaku Modeの共同創業者が主宰している開発合宿があり、それに参加してみたら「面白いプロジェクトやってるんだけど、興味あったらどう?」と誘われ、手伝い始めることにしました。
Tokyo Otaku Modeの創業者たちは、過去に「草ベンチャー(本業を持ちつつ、平日の就業時間後や週末の空いた時間を使ってベンチャーを立ち上げること)」という形でプレミアム・タイムセールサイト「LUXA(ルクサ)」(※現在はサービス終了している)の立ち上げに関わっていて。そうした経緯もあり、Tokyo Otaku Modeも「草ベンチャー」としてスタートし、そのタイミングで自分も空いている時間を使って手伝いをしていました。
そこからサービスが立ち上がり、シードラウンドの資金調達のタイミングで法人化して社員採用を始めた流れでTokyo Otaku Modeに正式に参画。ベンチャー企業はとにかく人がいないので、ソフトウェア開発はもちろんのこと、「Node.js + MongoDB」というシステム構成でのECサイトの運用、コミックマーケットに行ってコスプレしている人に許可をとって撮影したり、受発注システムや会計システムの開発、倉庫の業務改善にも取り組んだりしました。
また、Tokyo Otaku Modeは米国のVC・500 Startupsから出資を受けたスタートアップということもあり、アクセラレータープログラムに参加するためシリコンバレーに行ったこともあります。振り返ってみると、いろんなドメインの業務に携わってきたなと思います。最終的には、Engineering Managerとしてエンジニアのマネジメントもやりました。
──そこから、なぜROUTE06を共同創業することにしたのでしょうか。
もともと、代表の遠藤さんとは“EC業界つながり”で、彼が1社目のスタートアップを立ち上げている頃から知り合いだったんです。遠藤さんと話をする中で、次の起業のテーマのひとつに「大手企業のデジタル化支援」というのがあって。個人的にも、遠藤さんと同じ課題感を抱えていたこともあり、「そのテーマであれば一緒にやりたいです」という思いを伝えて、ROUTE06を共同創業することになりました。
長く使われることを考えた上で、価値あるサービス開発に取り組める
──ROUTE06ならではの開発の魅力はどこにありますか。
これだけDX、デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれているにもかかわらず、まだまだアナログなワークフローに取り残されている会社は多くあります。そして、その「デジタル化できていない」という背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っている。各社ごとの課題を踏まえた上で、その課題を解決し、価値を提供していけるのは面白いと思います。結果的に自分の仕事を通じて、幸せになる人を増やせるので、そこはやりがいですね。
また、ウェブサービスを何度も開発した人であれば分かると思うのですが、開発したサービスが鳴かず飛ばずだったり、人知れずクローズしたりすることがよくあります。ただ、ROUTE06の場合は大手企業と共同でデジタルサービスを開発していくので、取引規模や流通金額が大きいサービスの開発に携われるほか、一定の顧客基盤をもとにサービスを提供していくので多くの人に使ってもらえる感覚も味わえる。
長く使われることを考えた上で、きちんと価値あるサービスの開発に取り組める点は他にはない魅力だと思います。
──重岡さんは2022年11月にCTOに就任されました。創業から今まで、CTOというポジションを設けていなかったのはなぜでしょうか?
CTO就任にあわせて執筆した記事にも詳しく書いたのですが、ROUTE06は創業期から明確なプロダクトがあったわけではなく、まずは「大手企業のデジタル化を支援するニーズはあるのか」という仮説検証からスタートした会社です。個社ごとのプロジェクトがあり、プロジェクトごとに開発をリードするエンジニアがいる状態だったので、CTOの必要性も感じていませんでした。
また、CTOのポジションを空けておくことで人材採用の可能性が広がったり、内部登用のチャンスも生まれたりするのかな、という考えもありました。それで今までCTOというポジションを設けていなかったのですが、今年の6月にシリーズAの資金調達を実施し、自社プロダクト「Plain」の開発を進めていくにあたり、経営・事業・技術という3つの視点を持ってプロダクトをドライブさせていく役割の人が必要になると思ったんです。
そうした背景から、今回自分がCTOに就任することになりました。もちろん、最初は経営・事業・技術の視点から自分が意思決定をしていきますが、段階を経て少しずつ他のメンバーたちに権限移譲していけたら、と考えているところです。
──CTOとして、これからどんなことに取り組んでいく予定ですか。
現在、開発を進めているPlainは“あらゆる商取引のデジタル・トランスフォーメーションを実現するためのビジネスAPIプラットフォーム”をコンセプトに、業種に関わらずに利用される「Horizontal SaaS」の立ち位置を目指しています。エンジニアリングの抽象度や複雑性が高いことに加え、デジタル事業の立ち上げを支援する「プロフェッショナルサービス」と組み合わせて提供する考えもあり、プロフェッショナルサービスのチームとプラットフォームサービスのチームが連携していかないと理想としているゴールにはたどり着けないと思っているので、今後はよりエンジニアリング組織全体で横断的な取り組みを増やしていきたいと考えています。
そのほか、ROUTE06には技術的に良い取り組みがあるので、オーバーエンジニアリングやアンダーエンジニアリングにならないよう、技術だけでなく事業や経営へのインパクトを最大化できるようにバランスをとったエンジニア組織にすることを心がけています。
例えば、「技術選定も、ソフトウェア開発における重要な要素である」という考えのもと、継続的な技術選定をし続けることで判断力を付けるという取り組みを行なったり、ガイドラインとして「チーム内で2人以上が責任を持てる技術選定をする」という方針のもと開発を進めたりしています。自社プロダクトの開発が本格開始し、将来的に社内外のエンジニアの方々とコラボレーションモードで開発していく計画があるため、様々な技術をキャッチアップし続けることをROUTE06のエンジニアリング組織全体で追い求めていきたいです。
あとは採用ですね。どこのスタートアップもエンジニア採用に苦労していると思いますが、CTOとしてエンジニア採用もミッションとして取り組みます。
ただし、有名企業との採用競争を勝ち続けていくのは至難の業だと思っているので、インターンシップや新卒、未経験者採用などを通して、「ソフトウェアエンジニアになれた!」ということの再現性を高めていきたいです。それを実現することで、よりサスティナブルなエンジニア組織にしていけるのではないかと思っています。
“現場目線”を、ずっと持ち続けていく
──どういった人と一緒に働きたいですか?
ROUTE06にはプロダクト開発を通して、きちんと価値提供をしていく「プロダクト思考」を持った人が多くいます。コードを書くことに楽しさを見出すことも重要ですが、それだけでなく開発したサービスがどう使われるべきかを考える。最先端の技術トレンドを追っているだけではなく、大手企業のデジタル化支援という複数の要因が絡み合っている複雑な領域の課題を紐解いてプロダクト開発しているので、そこの課題解決の面白さ、価値提供していく面白さに共感してもらえる人と一緒に働きたいですね。
また、ROUTE06はフルリモートOKで、インターネットさえ繋がっていれば日本全国どこに住んでいても働ける環境なので、少しでも「面白そう」と思った人は、ぜひ一度カジュアル面談させてください。
──最後にCTOとしての意気込みを教えてください。
経営の立場になっても“ソフトウェアエンジニア”としてのこだわりは持ち続けたいと思っています。ソフトウェアエンジニアリングはトレンドや技術の移り変わりも早いので、昔の知識で判断していたら見誤ると思うこともある。そのため、経営の立場になっても“現場目線”は忘れることなく、ずっと持ち続けていきたいと思っています。
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