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全社ワークスペースに「GitHub」を選んだ理由と利用状況について

ROUTE06では2022年1月から全社ワークスペースをGitHubへ移行しています。全社員がGitHubアカウントを保有し、コーポレートやマーケティングなどの業務においても、GitHub上で議事録や業務ガイドラインなどの文書作成及びタスク管理などが日常的に行われています。

プロダクト開発に関連した業務以外でも、GitHubの全社利用を始めてから社内の情報共有のあり方が変わったという前向きな意見も多く、特段のトラブルもなくNotionからの切り替えが進んでいる状況です。

全社員がGitHubでドキュメンテーションすることになったけど、レビューが自然とプロセスに入り、コラボが生まれやすくなって組織の情報流通が滑らかになった感がある

GitHub全社導入時にあった社員のコメント例

GitHubはソースコード管理に留まらず、あらゆるドキュメンテーション管理に活用できるのですが、ソフトウェア開発者以外にはあまり馴染みのないプロダクトであり、開発業務以外での活用を検討したことはあっても本格導入には躊躇するチームや組織も多いのではないでしょうか。

この記事ではROUTE06の全社的なドキュメント及びタスク管理においてGitHubを採用した背景、具体的な利用状況などについてご紹介していきます。


複雑な課題に非同期で向き合う組織の「情報設計」

ROUTE06では大手企業グループの抱える複雑なビジネス課題に向き合い、それらを解決するためのデジタルプロダクトの開発・運営を行なっています。日々の業務で取り扱う情報の範囲は、大量のログデータや事業KPIなどの定量情報から、複数部門が関わる業務レポートや経営会議の議事録などの定性情報まで、多岐にわたっています。チーム内での情報伝達やドキュメントの管理などの情報設計は、プロダクト及びサービスの品質向上や業務効率化という観点のみならず、顧客企業からの信頼という面でも非常に重要な論点です。

また社内の働き方に関して、今後より個人のライフスタイルと仕事の選択肢が多様化していくことを踏まえ、勤務の場所や時間の異なる社内外のチームメンバーが非同期でも効率的に仕事ができる環境や体制づくりに力を入れてきました。本記事執筆時点において全従業員の約4割が関東圏外在住であり、業務上特段の必要性のある場合を除き、出社は任意となっています。

組織の規模が大きくなるほど、情報の共有・活用を円滑にする文化・仕組み・システムの構築及びその維持には多大なコストがかかります。ROUTE06では創業初期からあらゆる業務ドキュメントの作成・共有・管理などの「情報設計」を重要な経営テーマと考え、顧客企業の抱える複雑なビジネス課題を解決するために、多様なチームが柔軟に働ける会社を目指しています。


これまでは「Notion」を積極活用

社内の業務ドキュメンテーションに関しては、これまでは主にNotionが活用されていました。打ち合わせの議事録やタスク進捗などのフロー情報から、プロダクト開発に関する仕様やコーポレート関連の規定ルールやガイドラインなどのストック情報まで、幅広いコンテンツがNotion内に作成・管理されています。

社内Notionページのサンプル

Notionは情報を構造的に整理することに長けており、DatabaseのRelationやRollupなどで情報を一元管理しつつ、必要に応じて他のテーブルと連携させて表示させたり、Viewの切り替えによって用途に合わせて視認しやすい画面レイアウトにしたりなど、情報を整理・活用するための機能が充実しています。

ページの公開機能などを活用することでノーコードで簡易なWebサイト作成し、そのままインターネット上に公開することもできます。ROUTE06でも当時は国内でほとんど事例がなかったNotionページによる採用サイト作成など、新しい機能も積極的に業務に活用してきました。

Notionが登場する前は、同じ社内でも職種やチームによってドキュメント作成及びタスク管理ツールが異なる場合も多く、業務フローや情報共有の分断が少なからず発生していたのですが、Notionは誰もが利用しやすい統合型かつ共通ワークスペースとして、スタートアップやWeb系メガベンチャーを中心に多くの企業で積極的に活用されるようになりました。

ROUTE06でもプロダクト開発の具体的な仕様やソースコード管理ではGitHub/ZenHubやMiro/Figmaなどを活用していますが、それ以外の社内共有用のドキュメント作成やタスク管理等の大多数はNotion上で行われており、約2年分の業務情報が蓄積されています。


「GitHub」の全社導入を決めた理由

これまではNotionを実質的な共通ワークスペースとして活用してきましたが、2022年1月からGitHubの全社利用及びNotionからの移行を開始しています。今後取引先や社員をはじめとしたステークホルダーの増加とともに取り扱う情報が複雑・多様化していくなかで、以下のような理由によりGitHubが全社ワークスペースとして選定されました。

1.業務プロセスとドキュメンテーションの連続性
一般的にプロダクト開発における要件定義・仕様作成ではNotion等のGitHub以外のツールが好まれやすいですが、ドキュメント作成をGitHubに一本化することができれば、設計と実装のプロセスにおける情報共有がよりスムーズに行えるようになります。2021年3月よりDiscussions機能がプライベートリポジトリでも活用可能になったことから、議事録やアイディアメモなどもビジネスドキュメントもGitHub内で作成・共有しやすくなりました。またコーポレート部門もGitHubを利用していれば、部門・業務をまたいだ情報共有(特に問題の察知など)などの利便性も高まります。

Repositoryを跨いだissueの引用や管理なども容易


2.Slack等への接続性及び視認性
GitHubではCode、Issues、Discussionsをドキュメント作成の目的に合わせて使い分け可能であり、各リポジトリ内でのドキュメント作成や変更差分更新などはSlackの各チャネルに自動通知されるように設定できます。本記事執筆時点において、Notionその他ドキュメントツールでもページ更新等をトリガーとしたSlack通知など可能ではありますが、細かい条件設定や展開テキストの視認性という点でGitHubは利便性の高い機能を数多く有しています。

Slackへの変更・更新履歴及び内容の通知


3.バージョン管理と共同編集の利便性
GitHubはドキュメントの保管・編集更新などの履歴確認やアサイン管理などの機能が豊富です。例えば業務ガイドラインなどのドキュメントをコード管理にし、Pull Requestのフローを取り入れることで、初稿から全ての変更差分及び議論過程がコメントとして蓄積されるため、後から入社した方でも正確にその経緯を確認することができるようになります。記載内容に少しでも気になる点があれば、誰でもドキュメントの変更提案ができるため、情報の鮮度と質を特定の個人に依存せずチームで担保することが可能になります。また内部統制・監査などにおいても、規定類の更新状況などの信頼性の高いデータを開示しやすいなど、ガバナンス強化の観点でもメリットがあります。

ドキュメントの変更履歴の確認



4.システムの安定性及びセキュリティ水準
GitHubは世界で広くエンタープライズ利用されているソフトウェアサービスであり、その安定性とセキュリティ水準には一定の信頼感があります。またGitHubは2018年にMicrosoftグループとなってから、ドキュメントを安全に管理するセキュリティ機能やエンタープライズ向けサービスを重点強化する方針を公表しています。

GitHub Securityより引用


具体的な業務での利用状況

ROUTE06のOrganization内のGitHubリポジトリは部署やチーム、開発プロジェクト毎などで作成されており、現時点では全体の約25%がソフトウェア開発に直接関係しないビジネス用途のものです。

リポジトリの利用状況(2022年4月27日現在)

GitHubにおいてドキュメンテーションに活用できる機能は主にCode、Discussions、Issuesの3種類ですが、目的と用途に応じて主に以下のような使い分けがされています。

各ドキュメント機能の位置付け

それぞれの具体的な利用事例は以下の通りです。

Code活用事例:会社基本情報の公開
Discussions活用事例:アジェンダと議事録の共有
Issues活用事例:コーポレートへの振込依頼

また2022年2月よりMermaid記法も対応となり、GitHub内のエディターから簡単なガントチャートやシーケンス図などが作成可能になりました。こういった機能なども社内では使われ始めています。

もともと全社導入を決定する前から、経理・法務などのコーポーレート業務でもタスク管理や契約書類のレビューにGitHubやZenHubが活用されていました。全社導入決定後は他のチームや業務でも上記のように活用範囲が広がっています。


今後の取り組みについて

前述の通り全社ワークスペースとしてGitHubの導入が進んでおりますが、まだ一部のドキュメント等はNotionにあるなど段階的な移行状況であり、課題や改善点も少なくありません。今後の運用状況に合わせて活用範囲や手段を改善しながら、社内利用ガイドラインなどを充実させていく方針です。

またGitHubはメンバーやコラボレーターが増えれば増えるほどチーム活用の利便性が高まるツールではありますが、他のドキュメントツールに比べて学習コストが高いことが課題としてあります。今後組織がさらに拡大するなかで、入社時点ではGitHub利用経験のない社員も増加することが想定されるため、オンボーディングや研修などでのサポートを充実させていく必要があります。

社内のGiHub勉強会のスライドの一部

上記のようにまだまだ改善余地のある状況ではありますが、ROUTE06は大手企業の先進的なDX案件を支援する会社である以上、自分たち自身が最もDX化された組織を目指し、会社全体の思想や仕組みをアップデートし続けるべきであると考えています。

これからも新しいプロダクトを積極的に活用し、最先端の業務効率化にチャレンジしていく方針であり、本件のような取り組み事例についても順次ご紹介していきたいと思います。


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